金沢機工株式会社
コラム

コラム

放置竹林が及ぼす問題は?対策事例も合わせて紹介

2022.03.09

炭化装置

最近、ニュースやテレビなどの特集で、環境問題の一種として「放置竹林」が環境へ様々な悪影響を及ぼしているというニュースをよく目にするようになりました。

 

しかし、「放置竹林という言葉を聞いたことはあるけれど、なぜ環境問題に繋がっているかは分からない」という方は非常に多いです。

 

「放置竹林が増えている理由を知らない」という方も多数そんざいします。

 

そこで、今回の記事では放置竹林が環境へ及ぼす影響や放置竹林が発生する原因、その対応策について分かりやすく解説していきます。

 

この記事で解説しているポイントは以下です。

 

 

この記事のまとめ

・放置竹林とは竹林が管理されなくなり、放置されている状態のこと

・放置竹林は土砂災害を引き起こす原因となる

・放置竹林は野生鳥獣の住処となる

・高齢化や人口減により放置竹林が増えている

・竹が使用される機会が減っている

・放置竹林の対応策を4例ご紹介

 

 

それぞれよく理解したうえで、放置竹林の対策に取り組んでみてください。

 

 

 

放置竹林が及ぼす問題とは

竹2

 

様々な問題を引き起こす原因となっていることから放置竹林への関心が高まっています。

 

しかし、放置竹林という言葉を聞いたことがある方は数多くいますが、どのような問題を抱えているかまで理解している方はそう多くありません。

 

そのため、ここでは放置竹林が及ぼす問題について詳しく解説していきます。

 

放置竹林が及ぼす問題を正しく把握して、放置竹林対策がいかに重要かを理解しましょう。

 

そもそも放置竹林とは 

 

 

放置竹林とは、元々たけのこ栽培のためなどに植えられた竹が、間伐などの管理がされなくなり、放置されている状態の竹林を言います。

 

長年、放置竹林をそのままにしておいたことで、様々な問題が表面化しているのが現状です。

 

最も一般の方に近い問題としては、土砂災害の危険性が高まっていることが挙げられます。

 

実際、国や自治体も放置竹林の問題は危惧しており、補助金を出すなどの対応を行なっている状況です。

 

自治体と地元企業やボランティア団体が連携して、放置竹林の課題解決に向けた取組みを行っている事例も増えてきています。

 

 

 

 

土砂災害を引き起こす危険性がある   

 

 

放置竹林が及ぼす問題で最も危険なのが、土砂災害を引き起こすことです。

 

竹は根を浅くはるという特徴を持っているため、土砂災害を引き起こしやすいと言われています。

 

森林では木が根を深くはるため雨が降っても土をしっかりと支えるのに対して、竹林では竹が浅く広範囲に根をはるため、雨が降ると竹林ごと斜面を滑り落ちる危険があるのです。

 

しかも、竹の繁殖スピードは非常に早く、広範囲に渡り放置竹林ができることで、さらに土砂災害の危険性は高まるので、何らかの対処が必要とされています。

 

 

 

野生鳥獣の住処になる 

 

 

放置竹林は人の管理がされないことにより、野生鳥獣の絶好の住処となってしまうことも大きな問題となっています。

 

人里近い放置竹林にシカやイノシシの野生鳥獣が住むことで、畑や耕作地を荒らし、農作物に甚大な被害を及ぼすためです。

 

実際、農林水産省の発表によると令和2年度の野生鳥獣による農作物被害は、被害額約161億円と非常に大きな被害となっています。

出典:鳥獣被害対策コーナー:農林水産省

 

農作物への被害を軽減させる為にも放置竹林の改善は重要です。

 

なお、鳥獣被害については、以下の記事で詳しく解説しています。

ぜひご覧になってみてください。

 

鳥獣被害の軽減にも繋がる。今注目が集まっているジビエ取組をご紹介

 

 

放置竹林ができる原因は

 

たけのこ

 

放置竹林が引き起こす問題について、詳しく解説してきました。

 

では、何故そもそも放置竹林ができるのでしょうか?

 

原因として、以下の3点が挙げられます。

 

・高齢化や人口減による影響

・竹が使用されなくなった

・輸入たけのこの増加

 

放置竹林ができる上記3点の原因について詳しく解説します。

 

 

 

高齢化や人口減による影響  

 

 

放置竹林ができる原因の一つとして、高齢化や過疎化による人口減で竹林を管理する人がいなくなったことが考えられます。

 

従来、管理する方法としてはたけのこの収穫や間伐対応がありましたが、どちらも担い手不足の影響から十分な対応が出来ていないのが現状です。

 

そういった背景から、放置竹林に繋がるケースが増えてきています。

 

 

竹が使用されなくなった

 

 

放置竹林ができる一因として、割り箸などに使用されていた竹が使われなくなったことも挙げられます。

 

古くから竹は、箸やザルなどの日用品、家具、建築用材の材料として使われてきましたが、海外から安価な竹材の輸入や、プラスチック製品が増えたことにより、大幅に需要が減少。

 

竹の伐採自体が行われず、放置竹林に繋がっています。

 

したがって、放置竹林問題を根本的解決するためには、竹の利用価値を高めることが必要不可欠です

 

ちなみに、竹の利用の一例として、弊社では竹炭をおすすめしています。

 

竹炭の性能は素晴らしく、竹の利用価値を高めてくれるのは間違いありません。

 

 

 

輸入たけのこの増加 

 

 

放置竹林ができる原因として、国産よりはるかに安い輸入たけのこが流通したためです。

 

危険を犯して竹林に入り、重労働となるたけのこ収穫の手間をかけてまで収穫して販売する人が減りました。

 

高齢化に伴い、たけのこ収穫の担い手が減っていることも重なり、手入れがされず放置される竹林が増加してきたのも大きな要因です。

 

 

 

放置竹林の対応策

 

竹3

 

放置竹林は、管理する方の高齢化や人口減による管理の担い手不足、竹の使用頻度が現象を背景に増え続けています。

 

各地で放置竹林を減らす取組みが加速していますが、間に合っていないのが現状です。

 

このため、放置竹林を減らすだけでなく伐採した竹を再利用することで、資源の有効活用を行っていく必要があります。

 

放置竹林問題の対応事例をご紹介していきますので、参考にしてみてください。

 

NPO法人竹もりの里での伐採した竹の再利用

・中越パルプ工業㈱は伐採した竹を使用して「竹紙」を作っている

・山城広域振興局は放置竹林整備マニュアルを作成

・炭化装置による放置竹林の有効活用

 

それぞれについて説明していきます。

 

伐採した竹の再利用 

 

 

千葉県にあるNPO法人竹もりの里では、伐採した竹を竹パウダーにして土壌改良材として再利用しています。

 

竹パウダーとは、伐採した竹を専用の粉砕機で粉状にしたもので、製造後すぐに袋詰めを行い出来る限り空気を抜き嫌気状態をつくることで、乳酸菌が増加。

 

そのため、土壌改良剤として使うと、乳酸菌の力で野菜の甘みや葉物の育ちが良くなるため、農家の方からも注目を集めています。

 

出典:竹パウダー | NPO法人竹もりの里

 

 

 

竹紙を作っている  

 

 

中越パルプ工業㈱の取組事例は、伐採した竹を使用して「竹紙」を作る取組になります。

 

本来、紙は「木」から作られていますが、中越パルプ工業㈱では森林・里山保全のために放置竹林の再利用を検討。

 

たどり着いたのが竹を使用した紙を作ることだったそうです。

 

結果、2009年には国産竹100%の紙を製造販売し始めることに成功し、日本の竹100%を原料とした紙を生産販売している総合製紙メーカーとして、地域貢献の取組を行っています。

 

出典:中越パルプ工業

 

 

 

NPOやボランティア団体による放置竹林の拡大防止対応

 

 

京都府の山城広域振興局の取り組みは、放置竹林整備マニュアルを作成することにより、NPOやボランティア団体による放置竹林の拡大防止対応を行う取組みです。

 

竹林整備は、各自治体やボランティア団体により整備方法が異なり、手探りの状態が続いていました。

 

こういった状況を山城広域振興局は良しとせず「だれでもはじめられる放置竹林整備マニュアル」を作成し、竹の伐採方法や整備の流れを誰にでも分かりやすく提供しています。

 

このマニュアルを活用して正しい整備方法の理解が広まることで、放置竹林の抑制、拡大防止に繋がると見込んでいる状況です。

 

出典:京都府:竹林について考えます

 

なお、弊社でも放置竹林の問題を、このマニュアルを参考に解決すべき課題として取り組んでいます。

 

 

 

炭化装置による放置竹林の有効活用

 

 

農業用肥料を取扱う金沢市のA社は、放置竹林を伐採し炭化装置を活用して炭化することで、農業用土壌改良剤として再利用しています。

 

A社は2020年に環境保全取組の一環として、今まで活用できていなかった放置竹林の整備を始めました。

 

その後、炭化装置を導入、竹炭による価値化をなしとげ、今ではビジネスモデルとして確立し市民の生活を支えるまでに至っています。

 

なお、A社が炭化で使っている炭化装置は、弊社と明和工業株式会社が共同開発した装置です。

 

弊社の取り扱う炭化装置なら、竹や木材、廃棄物などの有資源を炭化して、肥料や土壌改良材として活用することができます。

 

詳細について知りたい方は、以下のページを確認してみてください。

 

炭化装置・炭化炉の種類や特徴は?燃料や原料になるバイオマスについても解説

 

 

 

まとめ

 

ノート6

 

本記事では、放置竹林が及ぼす様々な問題やその原因、対応事例について徹底紹介してきました。

 

放置竹林は竹林が管理されなくなり放置されたもので、そのままにしておくと土砂災害の危険性が増したり、野生鳥獣の住処となり、農作物への被害に繋がってしまいます。

 

このため、放置竹林の問題を正確に理解し、対策に取り組むことが重要です。

 

ぜひ取組内容を参考にして頂きながら、放置竹林対策にご協力ください。

 

この記事で解説したポイントは以下です。

 

 

この記事で解説したポイント

・放置竹林とは人の手によって間伐などの管理がされなくなり、放置されている状態

・竹は根を浅く広くはるため、土砂災害を引き起こす危険性がある

・放置竹林は野生鳥獣の絶好の住処となり、農作物への被害に繋がる

・高齢化や過疎化による人口減で竹林を管理する人がいなくなった

・プラスチック製品が増え、割り箸などに使用されていた竹が使われなくなった

・国産よりはるかに安い輸入たけのこが流通したため、放置竹林が増えた

・放置竹林の対応策を4例ご紹介

 

 

この記事を読んで、放置竹林に対する正しい知識をつけて、放置竹林の有効活用を検討してみてください。

 

 


page
top