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野生のシカやイノシシが畑を荒らしたり、民家の敷地に侵入してきて、困っている方は非常に多いです。

特に野生の動物が生息している山間地域や、人口減少による耕作放棄地がある地方の田舎などでは、有害鳥獣による被害がよく発生しており、ニュースなどでも目にする機会が増えました。

実際、有害鳥獣による農作物被害だけでも、年間約161億円の被害が発生しており、私たちの日常生活に大きな影響を及ぼしています。

このため、そうした被害を食い止めるために、2014年5月に「鳥獣保護管理法」が制定されました。

この記事では、その「鳥獣保護管理法」について、「取組内容」や「対象動物」「違反した場合の罰則内容」について分かりやすく解説していきます。

鳥獣保護管理法と関係の深い「外来生物法」についても触れていますので、鳥獣被害に悩んでいる方は参考にしてみてください。

この記事で知ることの出来る内容は以下です。

この記事のまとめ

  • 鳥獣保護管理法とは、鳥獣の保護及び管理を図るための事業実施
  • 鳥獣保護管理法の対象動物は鳥類または哺乳類に属する野生動物(ネズミ・モグラ類、海棲哺乳類含む)
  • 鳥獣保護管理法に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 許可を行うのは鳥獣被害を受けている被害者本人か本人から依頼を受けた捕獲従事者
  • 外来生物法とは特定外来生物による生態系や農林水産業への被害を防止することが目的の法律

鳥獣駆除に関する法律

ハント

鳥獣駆除に関係する法律として、「鳥獣保護管理法」があります。

有害鳥獣といえども、むやみやたらに駆除していいわけではないので、注意が必要です。

ここでは、「鳥獣保護管理法」について、詳しく解説していくので、正しく理解するようにしてください。

鳥獣保護管理法とは

鳥獣保護管理法とは、鳥獣の保護及び管理を図るための事業実施や、猟具の使用に係る危険の予防に関する規定が定められた法律です。

主な目的としては、「鳥獣の保護及び管理、並びに狩猟の適正化を図ること」、「生物の多様性の確保や、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展を通じて、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保、地域社会の健全な発展に資すること」を掲げています。

出典:環境省 鳥獣保護管理法の概要

「鳥獣保護管理法」制定までは「鳥獣保護法」により鳥獣の保護を行ってきましたが、それだけでは鳥獣問題の解決には繋がらなかったため、「鳥獣の管理」が加わったのが特徴です。

鳥獣保護管理法の対象動物は

鳥獣保護管理法の対象動物は以下の表を確認してください。

定義動物
鳥類または哺乳類に属する野生動物(ネズミ・モグラ類、海棲哺乳類含む)イノシシ、ニホンジカ、キツネ、ヒグマ、イタチ、タヌキなどの獣類 ムクドリ、キジ、カワウ、ミヤマガラス、マガモ、キジバトなどの鳥類

鳥獣保護管理法の対象外動物は以下の表を確認してください。

定義動物
環境衛生の維持に重大な支障を及ぼす、他の法令により適切な保護・管理がなされている鳥獣は、適用しないドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ、ニホンアシカ、アザラシ5種(ゴマフアザラシ・クラカケアザラシ・アゴヒゲアザラシ・ゼニガタアザラシ・ワモンアザラシ)、ジュゴンを除く海棲哺乳類

出典:環境省 鳥獣保護管理法の概要

上記のように、対象と対象外の鳥獣が区分されているので、よく覚えておくようにしましょう。

鳥獣保護管理法に違反した場合の罰則内容は

鳥獣保護管理法に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

同法では、環境大臣又は都道府県知事の許可を得て鳥獣捕獲を行うか、狩猟者登録を受けて行う場合以外の鳥獣捕獲行為は、原則として禁止しているためです。

罰則の対象にならないためにも、捕獲や駆除をする場合は、鳥獣保護管理法の内容を正しく理解するようにしてください。

有害鳥獣を駆除または捕獲するための許可取得

許可

鳥獣保護管理法では、鳥獣捕獲を行うにあたり、適切な申請を行なって環境大臣又は都道府県知事から許可を得る必要があります。

仮に許可得ずに鳥獣の捕獲を行なった場合は、先述したとり、鳥獣保護管理法に違反となり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となるため、注意が必要です。

鳥獣を捕獲するための許可を得られる条件は? 

鳥獣を捕獲するための許可を得られる人の条件は、以下の2点です。

  • 鳥獣被害を受けている被害者本人
  • 鳥獣被害を受けている被害者本人から依頼を受けた捕獲従事者

しかも、原則として、鳥獣による被害防除対策を行っているが被害が防止できない場合に限られます。

許可権限者とは?

鳥獣捕獲を行うに当たり、捕獲の許可権限者の詳細は以下を確認してください。

権限者内容
環境大臣国指定鳥獣保護区内、希少鳥獣の捕獲等の場合。 かすみ網を用いた捕獲の場合。
都道府県知事大臣許可の対象となるもの以外の鳥獣の捕獲等の場合。(※) ※多くの都道府県では、捕獲許可権限の一部を市町村長に移譲しています。

出典:環境省 捕獲許可制度の概要

上記の許可権限者が捕獲の目的毎に、鳥獣の種類・期間・区域・方法等に関する要件を定めており、その要件を満たした場合に、捕獲の許可を出しています。

ちなみに、都道府県の捕獲基準については、各都道府県の知事が策定する鳥獣保護管理事業計画の中に定められています。

詳細については、各都道府県担当部局に確認するようにしましょう。

許可手続きの流れは?

鳥獣捕獲に関する申請許可の手続きは、以下の流れになります。

1,申請者本人または申請者本人から依頼を受けた捕獲従事者が申請書を準備する

2,環境大臣または都道府県知事宛に申請を行う

3,環境大臣または都道府県知事が定めた許可基準により審査される

4,許可を受ければ許可証が発行される

出典:環境省 捕獲許可制度の概要

上記の手続きで注意が必要なのは、各都道府県によって許可申請書が異なる場合がある点です。

必ず申請する前に各都道府県の窓口に問い合わせを行うようにしてください。

鳥獣保護管理法と関係の深い「外来生物法」とは

ヌートリア

畑を荒らし、農作物を食べるなどして、鳥獣が私たちの生活に大きな被害を与えることを獣害と言います。

この獣害による被害を減少させるために、害獣の駆除を規制している法律が大きく分けて2つ存在します。

先ほど解説した「鳥獣保護管理法」と「外来生物法」の2種類です。

ここでは鳥獣保護管理法と関係の深い「外来生物法」について、ご紹介していきます。

外来生物法とは

外来生物法とは、特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止することを目的として制定された法律です。

具体的には、生物の多様性の確保や人の生命・身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することを目的として掲げています。

目的のために、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定しており、取り扱いなどを規制しているのが特徴です。

出典:環境省 日本の外来種対策

特定外来生物とは

特定外来生物とは、海外起源の外来種のことを指し、その中でも生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、及ぼす恐れがあるものの中から指定されています。

なお、指定されるものは、生きているものに限られ、卵、種子、器官なども含まれるのが特徴です。

ちなみに、環境省が発表している特定外来生物は、哺乳類、鳥類、発注類など10分類156種類(ヌートリア、シママングース、カオグロガビチョウ、カミツキガメ、オオクチバス、セイヨウオオマルハナバチなど)が指定されています。

出典:環境省 特定外来生物一覧

鳥獣保護管理法と外来生物法の違いについて

鳥獣保護管理法と外来生物法に基づく鳥獣の捕獲の比較の違いについてまとめたのが、以下の表です。

外来生物法に基づく「確認・認定」 鳥獣保護法に基づく「捕獲許可」
目的特定外来生物による生態系の変化、農林水産業に係る被害の防止 被害未発生時でも予防的捕獲、完全排除も含んだ計画的防除が可能 野生鳥獣による生活環境、農林水産業、生態系に係る被害の防止 等  野生鳥獣の保護と管理が必要(個体 数調整)
捕獲個体 の取扱 生きたままの運搬等を伴う防除が可能捕獲現場での安楽殺処分 地方公共団体職員等への引渡し
鳥獣法の 禁止猟法等使用できない (鳥獣を対象とする場合の要件) 別途許可を受ければ可能 
捕獲数量 別途許可を受ければ可能 数量を決めて申請 
権 限地方環境事務所長及び地方農政局長 (北海道は農林水産大臣、沖縄県は 沖縄総合事務局長) 都道府県知事または 地方環境事務所長 (一部の市町村長)

上記の法律は、どちらも生き物を捕獲できる法律ではありますが、様々な違いがあるため、覚えておくようにしましょう。

出典:環境省 外来生物法と鳥獣保護法

まとめ

メモ

近年、野生生物のシカやイノシシなどによる獣害が増えおり、大きな社会問題になっています。

その被害を少しでも減らすために「鳥獣保護管理法」や、「外来生物法」という法律が制定されていますが、被害を抑えることはできていません。

とはいえ、被害が大きいからと言って個人が勝手に鳥獣を捕獲したり、処分してしまうと法律違反により罰せられてしまいます。

このため、これらの法律を正しく理解したうえで、法に沿った鳥獣駆除を行い、被害の軽減に繋げることが重要です。

この記事では、法律の内容や対象動物、法に違反した場合の罰則などについて詳しく解説してきました。

獣害に悩んでいる方は、この記事を読んで、被害の軽減に役立ててください。

なお、この記事で解説したポイントは以下です。

おさらいとして確認しておきましょう。

この記事で解説したポイント

  • 鳥獣保護管理法とは、鳥獣の保護及び管理を図るための事業実施
  • 鳥獣保護管理法の対象動物は鳥類または哺乳類に属する野生動物(ネズミ・モグラ類、海棲哺乳類含む)
  • 鳥獣保護管理法に違反した場合は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • 許可を行うのは鳥獣被害を受けている被害者本人から依頼を受けた捕獲従事者
  • 捕獲の許可権限者は環境大臣、都道府県知事
  • 鳥獣保護管理法と外来生物法は関係が深い
  • 外来生物法とは特定外来生物による生態系や農林水産業への被害を防止することが目的の法律
  • 特定外来生物とは、海外起源の外来種のこと