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SiCウエハの欠陥種類を徹底解説!MPD・TSD・TED・BPDの特徴と検査基準

2025.11.14

半導体事業

SiCウエハは次世代のパワーデバイスやLEDなど幅広い分野で利用が進む半導体基板です。

 

高効率かつ高耐圧を実現できる一方で、製造過程で必ず結晶欠陥が発生します。

 

中でもMPD・TSD・TED・BPDと呼ばれる4つの欠陥はデバイス特性に大きな影響を与えるため、研究者や技術者にとって避けて通れない課題でしょう。

 

本記事では、それぞれの欠陥の特徴や検査基準を整理し、用途に応じたSiCウエハ選定のポイントを解説します。

 

自分の開発テーマに合った最適な品質基準を理解し、コストと性能を両立させた基板を選択したい方は、ぜひ参考にしてください。

 

SiCウエハの結晶欠陥とは?

SiC(炭化ケイ素)は次世代パワーデバイス材料として注目を集めています。

 

Siに比べて高い絶縁破壊電界と熱伝導率を持つため、高効率で低損失の電力変換が可能です。

 

しかし結晶成長過程では必ず欠陥が発生し、その中でも特に重要なのが以下の4つです。

 

  • MPD(マイクロパイプ密度)
  • TSD(貫通らせん転位)
  • TED(貫通刃状転位)
  • BPD(基底面転位)

 

これらはいずれも、最終製品の性能低下や信頼性の悪化に直面するため、詳細な理解と検査が欠かせません。

 

MPD・TSD・TED・BPDの特徴

SiCウエハの結晶欠陥は、それぞれ物理的構造とデバイス動作への影響が異なります。

 

これらの欠陥は、デバイスのリーク電流や通電特性、長期信頼性などの電気的特性に直接影響するため、SiCパワーデバイスの性能を左右する重要なポイントとなります。

 

ここでは代表的な4種類の転位型欠陥(MPD、TSD、TED、BPD)について解説しますので、参考にしてください。

 

MPD(マイクロパイプ密度)の特徴

 

MPD(マイクロパイプ)は、中心に空洞を持つ螺旋転位で、変位が非常に大きい構造です。

 

マイクロパイプは溶融KOHによるエッチングで六角形状のピットとして観察できます。

 

結晶内に残るとデバイスのリーク電流発生源となり、特にパワーデバイスでは致命的な欠陥となります。

 

マイクロパイプの密度は、高品質なSiCウエハで1~10個/cm²の範囲まで抑えられているのが特徴です。

 

小形の転位はデバイスへの影響が少ない場合もありますが、マイクロパイプや炭素インクルージョンなどは特性劣化のリスクが高く、厳格な管理が求められています。

 

TSD(貫通螺旋転位)の特徴

 

TSD(貫通らせん転位)は、SiC結晶のc軸方向に貫通して伸びる螺旋転位で、その中心軸が大きく変位します。

 

エッチング検査では、螺旋転位は六角形状のピットとして現れるのが特徴です。

 

TSDの大きなずれや混合転位は、デバイスへのリーク電流などの悪影響を及ぼす可能性があります。

 

結晶内に存在する螺旋転位の種類や密度は、SiCデバイスの性能保証にも直結するため、注意が必要です。

 

TED(貫通刃状転位)の特徴

 

TED(貫通刃状転位)は、c軸方向に貫通し、直線的な構造となる刃状転位です。

 

TEDはエッチングにより六角形状のピットとして観察され、デバイス特性に大きな影響を与えない小さなものも多数存在します。

 

ただし、大きなTEDや混合転位が集積している場合、電子の移動や電圧耐性など特性劣化の要因となってしまう場合もあるでしょう。

 

転位密度は高品質SiCでも一般に10³~10⁴個/cm²程度存在し、TEDの分布や性質も検査・評価のポイントとなっています。

BPD(基底面転位)の特徴

 

BPD(基底面転位)は、(0001)面内で水平方向に伸びる転位です。

 

エッチングでは長円形ピットとして現れます。

 

基底面転位構造の中には、ショックレー部分転位に囲まれた領域が存在し、SiCデバイスへバイポーラ電流が流れることで積層欠陥(Stacking Fault)が形成されるのが特徴です。

 

基底面転位が拡張し積層欠陥となると、高抵抗領域が生じてデバイス特性が劣化します。

 

エピタキシャル成長条件やバッファ層の最適化によりBPDを低減し、現在は高品質なSiCウエハではBPD密度も大幅に抑えられるようになっています。

 

SiCウエハの用途別品質基準

SiCウエハの品質基準は用途によって大きく異なり、デバイスの要求性能に応じた選定が重要です。

 

パワーデバイス用途では、高い電圧耐性と信頼性が求められるため、マイクロパイプや大型転位などのキラー欠陥を極限まで抑えた高品質グレードが必要です。

 

一方、LED・光学部品用途では、パワーデバイスほど厳しい要求はありませんが、光学特性に影響する欠陥の管理が重要となります。

 

コストとのバランスを考慮しながら、用途に適した品質レベルの選択が可能です。

 

購入時には、検査証明書による欠陥密度の確認と、メーカーの品質管理体制を評価しましょう。

 

金沢機工の高品質SiCウエハ

金沢機工株式会社は次世代パワー半導体分野において、高品質なSiCウエハを低価格で提供する専門メーカーです。

 

豊富な技術力と実績により、多様な用途に対応した製品ラインナップを展開しています。

 

金沢機工のSiCウエハの特徴は、次の通りです。

 

  • 4H-N型を中心いた豊富な商品ラインナップ
  • 4インチ・6インチサイズへの対応
  • 複雑形状への加工技術
  • 薄膜基板(100μm厚)の製造技術
  • 転位欠陥を抑えた製造プロセス
  • パワーLSI・LED・光学部品への供給実績
  • 低価格による高品質な製品の提供
  • 電極膜付き(Ni、Ti、Au等)製品への対応

 

とくに転位欠陥制御技術に優れており、「SiCウエハは転移欠陥を抑えた品質の高さが特徴」として市場で高い評価を得ています。

 

パワー半導体の耐圧性能・耐熱性能・動作速度向上に寄与し、研究開発から量産まで幅広いニーズに対応可能です。

 

まとめ:Sicウエハの問い合わせなら金沢機工へ

SiCウエハにおけるMPD・TSD・TED・BPDの欠陥種類を正しく理解すれば、用途に応じた適切な製品選択が実現できます。

 

各欠陥がデバイス性能に与える影響度は異なるため、パワーデバイス用途では厳格な基準を、LED・光学部品用途ではコストバランスを重視した基準を設定することが重要です。

 

とくにパワーデバイス分野では、MPDやTSDの密度管理が製品信頼性に直結します。

 

金沢機工では転位欠陥を抑えた製造プロセスにより、4H-N型中心の豊富なラインナップを低価格で提供しており、研究開発から量産まで幅広い次世代デバイス開発の支援が可能です。

 

SiCウエハの仕様選定や品質基準についてご不明な点がございましたら、ぜひ金沢機工へお気軽にお問い合わせください。

 


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