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SiC(炭化ケイ素)の結晶欠陥とは?SiCウエハーを活用するメリットも解説

2025.02.09

半導体事業

 

研磨剤や耐火材、また半導体の材料としても活用される炭化ケイ素(SiC)。

 

物理的・化学的に優れた特徴を持つ材料ですが、利用するうえで「結晶欠陥」という問題を抱えて     います。

 

結晶欠陥は製造コスト増大や製品不良の要因となるため、多くの企業・研究者が解決に向けて取り組んでいます。

 

この記事では、炭化ケイ素(SiC)活用のさいに避けられない結晶欠陥という現象について、わかりやすく解説します。

 

合わせて、半導体部品の材料として近年採用が進む「SiCウエハー」についても解説していますので、SiCウエハーの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

炭化ケイ素(SiC)とは

 

「炭化ケイ素(SiC)」は、天然にはほとんど存在しない化合物です。

 

しかし、物理的・化学的に多くの利点を持つため、さまざまな分野で活用されています。

 

炭化ケイ素(SiC)がどのような物質なのか、特徴と主な用途を見ていきましょう。

 

炭化ケイ素の特徴

 

炭化ケイ素(SiC)は、炭素(C)とシリコン(Si)で構成された化合物で、「シリコンカーバイド」とも呼ばれます。

 

天然の炭化ケイ素は隕石中にわずかに含まれるのみで、利用     するためには工業的に合成する必要がある物質です。

 

炭化ケイ素(SiC)の主な特徴としては、世界で三番目という高硬度、1600℃でも安定するほどの優れた耐熱性、高い熱伝導率、さらには化学的に安定していることなどが挙げられます。

 

また「半導体特性」を持つことも、炭化ケイ素(SiC)の大きな特徴です。

 

炭化ケイ素の用途

 

炭化ケイ素(SiC)は、     硬度が高くかつ熱に強いため、研磨剤や耐火材に利用されます。

 

加えて、工業的な合成技術の飛躍により、高純度の炭化ケイ素(SiC)を生成できるようになったため、近年は半導体の材料としても用いられています。

 

このように、炭化ケイ素(SiC)はさまざまな分野で活用されている物質です。

 

結晶欠陥とは

炭化ケイ素(SiC)を活用するうえで障壁となるのが、「結晶欠陥」という現象です。

 

結晶欠陥は、強度低下、製造コスト増大といった問題を引き起こします。

 

結晶欠陥がどのような現象なのか、また、その原因と解決方法を解説します。

 

不完全な原子配列

 

結晶欠陥とは、結晶内の原子配列が不完全な状態を指す用語で、「格子欠陥」とも呼ばれます。

 

通常、結晶は一定のパターンで繰り返された原子配列を持ちます。

 

しかし、不純物の存在、原子価の変動などによって、原子配列のパターンが敗れることがあり     ます。

 

この現象が結晶欠陥です。

 

結晶欠陥は、結晶の強度を低下させたり、電気抵抗を     増大させたりして     製品不良を引き起こすため、工業的に利用するさいの課題となります。

 

反面、結晶の塑性を制御するうえで、あえて結晶欠陥を利用する手法もあるため、一概に悪い現象とは言えません。

 

SiC結晶欠陥について

 

炭化ケイ素(SiC)の結晶欠陥の原因をもう少し詳しく見ていきましょう。

 

まず、結晶の生成時に「基底面転位」という現象が起こり、結晶欠陥が発生します。

 

そして、半導体材料であるSiCウエハーを製造するさいの加工も、     結晶欠陥の原因となります。

 

加えて、SiCウエハーを利用した製品の製造後にも、結晶欠陥を起こすことがあります。

そこでは、ダイオードに電流が流れることでも基底面転位が起こり、結晶欠陥が増大するのです。

 

SiC結晶欠陥の解決方法

 

現在も、SiC結晶欠陥の解決に多くの企業・研究者が取り組んでいます。

 

設計の面では、オン電圧の低いダイオードを採用する     と、炭化ケイ素(SiC)が用いられた部分に電流が流れ     ないため、結晶欠陥を防ぐことが可能です。

 

また、炭化ケイ素(SiC)の結晶生成時、そして加工時に発生する欠陥を無害化する研究も進められています。

 

SiCウエハーを活用するメリット

現在の半導体製造には、「SiCウエハー」という材料が不可欠です。

 

ここでは、SiCウエハーを製品に利用するメリットを解説します。

 

SiCウエハーとは

 

そもそも「SiCウエハー」     とは何かについて簡単に説明します。

 

SiCウエハーとは、炭化ケイ素(SiC)でできた薄い板で、半導体の材料となるものです。

 

従来は、シリコンを用いた「Siウエハー」が主流でしたが、SiCウエハーはSiウエハーが持つ課題を解決する材料として注目され、活用が進んでいます。

 

高温環境でも動作する

 

製品の中でも、ウエハーを用いる部分は動作温度が高いため、その点を考慮しなければなりません。

 

SiCウエハーは、従来のSiウエハーよりも耐熱性に優れ、かつ熱伝導率が高いため、SiCウエハーを採用した製品は、高温環境でも安定して動作します。

 

そのため、製品に冷却部品を搭載したり、ヒートシンク材を用いたりする必要がなく、容量・コストの削減が可能です。

 

高い電流容量を持つ

SiCウエハー     の大きな特徴として、高い電流容量を持つことも     挙げられます。

 

SiCウエハーには、Siウエハーと比べて約5倍の電流容量があり、より少ないコンポーネントで製品を製造できます。

 

これは、インバーターの小型化、製造コスト低下に繋がります。

 

高い電圧容量を持つ

 

電気的特性としてもうひとつ、     SiCウエハーの特徴     として、高い電圧容量を持つことも挙げられます。

 

SiCウエハーはSiウエハー     の約10倍の電圧容量を持つため、より高い電圧に耐えられます。

 

優れた電圧容量を持つSiCウエハーを採用することで、コンポーネントを減らし、製品     を小型化することが可能     になります。

 

SiCウエハーの購入は金沢機工へ!

 

「炭化ケイ素(SiC)」は、高硬度、高い耐熱性と熱伝導率、化学的     安定といった特徴     を持つため、研磨剤や耐火材に利用されてきました。

 

また優れた半導体特性を持つことから、半導体の部品としても活用されています。

 

しかし、炭化ケイ素(SiC)     を活用するためには、「結晶欠陥」の課題が避けられません。

 

結晶欠陥は部品の強度低下や電気抵抗の増大を引き起こすため、オン電圧の低いダイオードを用いる、結晶生成・加工時に結晶欠陥を減らすといった取り組みがなされています。

 

炭化ケイ素(SiC)を用いた「SiCウエハー」は、従来のSiウエハーに取って代わる材料として、近年、採用が進んでいます。

 

SiCウエハーの大きな利点は、高温環境でも動作すること、高い電流容量と電圧容量を持つこと     です。

 

金沢機工では、さまざまなSiCウエハーを取り揃えて     いるため、ニーズに合った製品を見つけることができるでしょう。

 

ますます需要の高まるSiCウエハー、購入の際はぜひ金沢機工へお問い合わせください。

 


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