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電解イオン水生成機器とは?仕組みや使用例などを解説!

2025.09.30

半導体事業

電解イオン水生成機器は、さまざまな場面で使われる電解イオン水を生成できる装置です。

 

電解イオン水は酸性からアルカリ性まで幅広いpHのものが存在し、洗浄や除菌、エッチングなどの役割を果たします。

 

製造業界や食品業界、医薬品業界など多くの業界で欠かせない存在です。

 

本記事では、電解イオン水生成機器の仕組みや使用例などを詳しく解説します。

 

電解イオン水とは?

電解イオン水について基本的な点を解説します。

 

電解イオン水は水を電気分解して得られる

 

電解イオン水とは水を電気分解して得られる水溶液です。

 

イオン交換膜で挟んだ電極間に電気を流せば、マイナス極側にはアルカリ性、プラス極側には酸性の電解イオン水が生成されます。

 

水道水には多くのイオンが含まれているため、電気分解すれば電解イオン水の生成が可能です。

 

ただし、含まれるイオンによっては、錆やシミを引き起こす原因となるため、原水として用いる水の選択には注意が必要です。

 

電解イオン水とは、純水や超純水を電気分解することで得られる水溶液であり、主に洗浄や除菌などの目的で産業用途に用いられます。

 

電解槽内でイオン交換膜を介して電極間に電流を流すと、マイナス極では水酸化物イオン(OH⁻)が生成され、アルカリ性の電解水となり、プラス極では水素イオン(H⁺)や微量の酸化物が生じて酸性の電解水が得られます。

 

半導体洗浄用途では、原水として一般的な水道水ではなく、不純物の少ない超純水を使用するのが基本です。

 

ただ、流れている超純水の電気抵抗は18MΩで、電気伝導度が非常に低いため、電気分解ができません。

 

EW TECH社の電解セルを適用すると5Aの電流を最大18Vの電圧で印加し、流れている超純水の電気分解が可能になります。

 

それに、電解イオン水は気泡型の水素と酸素ではなく水素イオン(H⁺)と水酸化イオン(OH⁻)に解離(電離)された電解水になります。

 

水道水にはナトリウムやカルシウム、鉄などの不純物イオンが含まれており、それらが電気分解後の電解水に残留すると、洗浄対象の表面に金属汚染、シミ、腐食の原因となるため、製品不良リスクが高まります。

 

そのため、電解イオン水の品質を保つためには、原水の水質管理が極めて重要であり、使用する装置や工程に応じて適切な純水処理が必要です。

 

電解イオン水は洗浄や除菌、冷却などに用いられる

 

電解イオン水は酸性やアルカリ性に偏った水溶液であり、洗浄や除菌、冷却などに用いられます。

 

たとえば、酸性のイオン水であれば酸化物の除去や除菌に使用可能です。

 

アルカリ性のイオン水は酸性の汚れを落としやすいため、工場やキッチンなどの洗浄に使われます。

 

特にアルカリ性のイオン水は洗浄力が高いため、工業分野で欠かせない存在です。

 

薬品や洗剤などを使用することなく対象物を洗浄して、残滓が残らないため、メリットがたくさんあります。

 

電解イオン水生成機器とは?

電解イオン水生成機器について仕組みを詳しく紹介します。

 

電解イオン水を生成できる装置

 

電解イオン水生成機器とは、電解イオン水を生成するために使われる装置です。

 

原水が装置の中で電気分解され、アルカリ性電解水と酸性電解水が生成されます。

 

用途によっては電解補助剤を添加してpHの調整が可能です。

 

電解補助剤を添加してpHを高めれば、洗浄性や防錆効果が向上します。

 

原水として使用されるのは水道水や工業用水、井戸水などですが、
半導体向け洗浄では、超純水を使用しなければなりません。

 

電解イオン水生成には2つの方式がある

 

電解イオン水生成の方式は大きく分けると全量電解方式とアルカリ水希釈方式の2種類があります。

 

全量電解方式とは、原水をそのまま全て電気分解する方式です。

 

アルカリ水希釈方式は、生成された電解水を水道水などで希釈します。

 

アルカリ水希釈方式の場合は、洗剤のように使えるのですが、希釈で用いる水道水に含まれる陰イオンが加わるため、錆や変色の原因になる点がデメリットです。

 

全量電解方式の場合は、電気分解により原水に含まれる陰イオンが減少するため、錆や変色などのリスクが低くなります。

 

ただし、全量電解方式はコストの負担が大きく、生成量に限界がある点などがデメリットです。

 

目的に合わせて電解イオン水生成機器の方式を選ぶのが推奨されます。

 

さまざまなpHの電解イオン水を生成できる

 

電解水生成装置を用いることで、用途に応じたさまざまなpHの電解水を生成することが可能です。

 

純水を用いた方式では、電気分解のみでアルカリ性または酸性の電解水が生成され、pHはおおむね8~12程度となります。

 

さらに、電解補助剤として微量のNaClやKOHを添加することで、より高pH(12~13程度)のアルカリ電解水を生成することも可能です。

 

EW TECH製電解イオン水生成機器は、添加剤無しで、電解水の生成が可能です。

 

表面ダメージとケミカルの廃棄処理がないことや、 追加ガス添加をしないため、安定的なcavitationで pattern damageの危険性を極限まで抑えられます。

 

洗浄用途では、有機汚れやパーティクルの除去を目的としてpH10〜12のアルカリ性電解水が使用されることが多く、工業用途や金属加工用途では、脱脂や切削油除去などの目的で、より高いpH(12〜13程度)の電解水が使われるケースもあります。

 

ただし、pHが高すぎると、素材に対する腐食性や人体への安全性の懸念もあるため、使用条件や材質との適合性を十分に確認する必要があります。

 

電解イオン水生成機器の導入メリット

電解イオン水生成機器を導入するメリットを紹介します。

 

コスト低減

 

電解イオン水生成機器の導入により、洗浄にかかるコストの低減を実現できます。

 

洗浄液としてアルカリ洗剤や有機溶剤、炭化水素などを用いるケースは多いです。

 

電解イオン水の場合は水道水などから電気を用いて生成できるため、洗浄液よりもコストがかかりません。

 

また、半導体洗浄分野では、EW TECH製生成機器は、超純水のみで電解水の生成ができ、添加ガスは使用しませんので、従来のH2ガス添加が必要なH2W 生成機器とは全く異なる技術になります。

 

これまで洗浄液や薬剤を用いて洗浄していた工程を電解イオン水に置き換えることで、コスト低減の効果を期待できます。

 

不良率低減

 

電解イオン水によって、製品の不良率低減を実現できます。

 

洗剤や薬品を用いて洗浄すると残滓が生じてしまうリスクがあり、その後の工程に問題が起きやすいです。

 

電解イオン水であれば残滓が発生しないため、その後の工程の品質を安定させられます。

 

製造ラインの不良率を低減できれば、コスト削減や品質向上、競争力強化などメリットが大きいです。

 

高品質の製品を安定供給できれば企業イメージの向上にも寄与します。

 

環境に優しい

 

電解イオン水生成機器を取り入れると洗浄工程で洗剤や薬品を使う量を減らせるため、環境保護につながります。

 

残滓が発生しなければ、工場から洗剤や薬品が流れ出て環境を破壊するリスクも低減できるからです。

 

また、現場にいる人が洗剤や薬品と接触するリスクも低減できます。

 

電解イオン水は素材に対してダメージを与えるリスクが低く、付着している汚れなどの成分のみを除去できるため、洗浄の対象物に対しても優しい洗浄液です。

 

電解イオン水生成機器の使用例

実際に電解イオン水生成機器がさまざまな現場で使用されている事例を紹介します。

 

食品加工現場における手洗い除菌

 

食品加工の現場では手洗い除菌にアルカリ電解イオン水が用いられています。

 

手洗いに用いることでさまざまな細菌を除去できて、食材への雑菌の混入を防ぐことが可能です。

 

また、手袋の消耗や消費を削減する効果もあります。

 

電解イオン水生成機器の導入により手洗いで薬品を使用する必要がなくなるため、現場の安全性も高まります。

 

床洗浄

 

電解イオン水生成機器により得られるアルカリイオン電解水は床洗浄に用いられるケースが多いです。

 

工場やキッチンなどの床に付着している油汚れやタンパク質汚れをアルカリイオン電解水が分解します。

 

アルカリイオン電解水によって汚れが乳化されるため、こすらなくても簡単に汚れを落とすことが可能です。

 

単に汚れを落とすだけではなく、細菌や微生物も取り除けるため除菌や消臭の効果もあります。

 

化学物質や界面活性剤などを使わないため残留物が生じず、安全性が高いです。

 

プリント基板のエッチング

 

プリント基板にエッチングをする際に電解イオン水が活用されます。

 

めっき前エッチングをすることで不良率の低減が可能です。

 

アルミエッチングでは酸性電解イオン水により表面粗さが低減されるため、コーティングの密着性を高められます。

 

酸性電解イオン水には金属を腐食させる効果があるため、エッチングに利用されるケースは多いです。

 

半導体製造現場における各種洗浄

 

半導体の製造現場において各種洗浄に電解イオン水が活用されます。

 

半導体の製造工程では不純物の混入を避けねばならず、半導体基板や設備機器、床などあらゆる部分の不純物を取り除かなければいけません。

 

洗浄や除菌などの効果が高い電解イオン水は、製造工程のさまざまな場面の洗浄工程で活躍します。

 

電解イオン水による洗浄で不純物の混入を防げれば、不良品の発生や製品の品質の低下を防ぐことが可能です。

 

電解イオン水生成機器は半導体分野で重要性が高い

なぜ電解イオン水生成機器は半導体の製造現場において重要なのか理由を解説します。

 

半導体製造では汚染物質や付着物が品質に影響する

 

半導体製造においては、汚染物質や付着物の存在が品質に大きく影響します。

 

現代は半導体がより高密度・微細なものになっており、わずかな不純物の混入でもリスクが大きいです。

 

半導体製造の現場では、洗浄の精度の向上に力を入れており、さまざまな方法でクリーンな環境を実現しています。

 

半導体製造における汚れとは塵埃や油脂、金属微粒子、有機成分など幅広いです。

 

それぞれの汚れを徹底的に取り除くことで、品質を安定化させられます。

 

半導体ウエハへの不純物の混入は極力避ける必要がある

 

半導体の製造において特に不純物の混入を避けなければいけないのは、フォトマスクと半導体ウエハです。

 

半導体ウエハとは半導体集積回路を製造するための素材を指します。

 

シリコンなどで構成される円盤状の板で、非常に薄くて小さいのが特徴です。

 

半導体ウエハには微小な粒子であっても大きな影響を及ぼします。

 

半導体ウエハを用いて半導体集積回路を製造する工程はクリーンルームで実施するのが一般的です。

 

クリーンルームからはあらゆる汚れを取り除かなければならず、洗浄工程が重要になります。

 

半導体製造の洗浄に電解イオン水が活用される

 

微小な粒子や金属汚染、有機汚染などあらゆるリスクを回避する必要がある半導体の製造工程において、電解イオン水は洗浄で活用されています。

 

機械や人などあらゆるものをクリーンな状態にする必要があるため、電解イオン水の役割は重要です。

 

電解イオン水を洗浄工程に用いることで半導体ウエハなどの汚染を防ぎます。

 

アルカリ電解イオン水は油や粉塵など幅広い汚れに対して洗浄効果が大きいです。

 

今後も半導体業界において電解イオン水生成機器は重宝されるでしょう。

 

半導体ウエハ、半導体洗浄装置、電解水生成機器、オゾン水生成機器のことは金沢機工までお問い合わせを!

電解イオン水生成機器は半導体の製造など幅広い場面で活躍している装置です。

 

半導体の製造においては、電解イオン水生成機器に加えてウエハも重要になります。

 

半導体ウエハの仕入れでは、高品質で低価格であることが大事です。

 

半導体ウエハについてお困りのことがあれば金沢機工までお問い合わせください。

 

参考:https://www.kanazawakiko.shop/

 

お問い合わせ先:https://www.kanazawakiko.jp/inquiry/

 

 


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