プラント設備の導入は、単に機械や装置を設置するだけでは完結しません。
生産効率、安全性、環境対応といった多様な要件を満たすためには、設計から施工、試運転、運用に至るまでの全工程を最適化する必要があります。
ここで重要な役割を果たすのが「エンジニアリング会社」です。
この記事では、設備導入におけるエンジニアリング会社の役割や業務内容、選定のポイントまでを詳しく解説します。
プラント設備導入とエンジニアリング会社の重要性
プラントの設備導入は、企業の生産活動の根幹を支える極めて重要なプロジェクトです。
まずは、プラントエンジニアリングの基本と、なぜエンジニアリング会社が必要とされるのかを解説していきます。
プラントエンジニアリングとは?
プラントエンジニアリングとは、石油・化学・食品・エネルギーなどの業界における大規模設備の設計・施工を総合的に支援する分野です。
単なる設計業務に留まらず、生産ラインの効率化、安全対策、環境対応など、多角的な観点からプロジェクトを成功へ導く技術とノウハウが求められます。
エンジニアリング会社は、顧客企業の要望に基づき、プラント全体の構想から具体的なレイアウト設計、必要資材の選定、さらには稼働後の最適化支援までを担います。
複雑化するプラント導入においては、こうした専門会社のサポートが欠かせません。
なぜエンジニアリング会社が必要なのか?
近年のプラント設備は高度な技術や法令対応、環境対策を必要とするケースが多く、自社単独での設備導入は現実的ではありません。
さらに、設計・施工・試運転といった各工程を分断して進めると、整合性やスケジュールの面での問題が生じやすくなります。
その点、エンジニアリング会社はプロジェクト全体を俯瞰的に管理し、関係者の調整やリスク管理を一手に引き受けるため、導入の失敗リスクを最小限に抑えることができます。
プラント設備導入の流れとエンジニアリング会社の役割
プラント設備の導入は、一朝一夕に完了するものではなく、段階的なプロセスを経て計画的に進める必要があります。
ここでは、導入フローを4つのステップに分けて、各フェーズでエンジニアリング会社が担う役割を具体的に解説していきます。
プラント設備導入の4つのステップ
導入フローを4つのステップは以下の通りです。
企画・基本設計
設備導入の最初のステップは、目的や要件の明確化から始まります。
例えば、処理能力、安全基準、法令対応といった点を整理し、プロジェクトの方向性を決定します。
加えて、初期レイアウトや概算コストの検討を通じて、プロジェクト全体の実現可能性を見極めるフェーズでもあります。
詳細設計
企画段階で決定した内容をもとに、使用する機器や構造材、制御システムなど、より具体的な仕様を策定します。
このフェーズでは、技術的な図面や工事仕様書の作成も行われ、施工段階に向けた設計の最終化が進められます。
調達・建設(EPC)
EPCとは、「Engineering(設計)」「Procurement(調達)」「Construction(建設)」の略称で、実際の現場施工に直結する工程です。
この段階では、必要な設備や資材の調達を行い、設計通りに建設を進めていきます。
同時に、工程管理や現場における安全・品質管理も極めて重要なタスクです。
試運転・運用開始
完成した設備が計画通りに稼働するかを確認するため、各種機器の動作テストやプロセス全体のシミュレーションを実施します。
また、実際の運用を担当するオペレーターへの研修や、運用体制の整備もこのフェーズで行われます。
各フェイズでのエンジニアリング会社の役割
フェイズごとのエンジニアリング会社の役割は以下の通りです。
基本設計フェーズ
レイアウト設計やプロセス設計、安全設計を担当し、設備全体の骨組みを構築。
安全性・効率性を考慮した設計が求められます。
詳細設計フェーズ
機器選定、配管レイアウト、電気・制御システムの設計など、各要素の具体化を進めます。
最新の設計ソフトやシミュレーションを用いて精度を高めます。
施工管理(EPC)フェーズ
建設現場の管理・品質保証・進捗確認、コスト管理を行い、計画通りの工期で完成を目指します。
試運転・運用フェーズ
試運転におけるデータ収集や最適化調整、トラブルシューティング対応。
マニュアルの作成や従業員研修なども実施します。
エンジニアリング会社の具体的な業務内容
エンジニアリング会社が関与する業務は、単なる設計や施工だけではありません。
仕様策定から調達、施工、試運転、さらには稼働後の最適化支援まで、多岐にわたります。
それぞれのフェーズでどのような業務を担当し、どのようにプロジェクト全体を支えているのか、より詳しく解説していきます。
設計・計画フェーズの業務
・仕様策定/FEED(Front End Engineering Design)の実施
プロジェクト初期段階でFEEDを行い、仕様や工程の大枠を定めます。
・安全規格への適合確認
ISO、JIS、APIなどの国際的な安全規格・業界標準に基づき、法令順守を徹底します。
・シミュレーション技術を活用した設計最適化
プロセスシミュレーションや3D CADによる設計検証を通じて、トラブルを未然に回避します。
施工・調達フェーズ(EPC)の業務
・資材/機器の調達管理
最適な機器・資材を選定し、調達コストの削減と納期管理を徹底します。
・建設スケジュール管理と品質保証
工程表に基づき施工を進めつつ、品質管理システムを活用して安定した工事を確保します。
・環境負荷低減のための技術導入
排出ガスの抑制、再生可能エネルギーの活用など、環境に配慮した設備構築を支援します。
試運転・運用開始フェーズの業務
・各種設備のテスト・データ分析による運用最適化
稼働前に全設備の動作検証を実施します。得られたデータを基に運用の最適化を図ります。
・運用マニュアルの作成・従業員研修など
現場スタッフへの教育・研修を行い、設備の安定運用をサポートします。
・長期的なメンテナンス計画の策定
長期的な視点で保守計画を策定し、故障リスクを抑える体制を構築します。
プラント設備導入を成功させるためのポイント
プラント設備導入を任せるエンジニアリング会社は、単なる外注先ではなく、共にプロジェクトを推進するパートナーです。
選定にあたっては、以下の点を重視することが重要です。
エンジニアリング会社の選び方|実績と技術力が鍵
・過去のプロジェクト実績の確認
同業種・同規模の設備導入実績があるかどうかを確認しましょう。
これにより、業界特有の要件や運用上の課題に対応できるかどうかを判断できます。
・3D CADやBIMなどの最新技術活用能力
3D CADやBIM(Building Information Modeling)などの設計ツールを使いこなしているか、また、シミュレーション技術に対応しているかもチェックポイントです。
これらの技術は、精度の高い設計と効率的な施工を支えます。
プロジェクト管理の徹底|コスト・スケジュール・リスク管理が重要
・PMBOKに基づく管理手法の活用
プロジェクト管理の国際標準である「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」に準拠した管理体制を採用しているかどうかは、マネジメントの信頼性を測る重要な指標です。
・予算管理とスケジュールリスクの最小化
見積もりの精度が高く、工程に柔軟に対応できるかどうかも見極めポイントです。
工期の遅延や予算オーバーのリスクを最小限に抑えるためには、実績と共に調整力も問われます。
最新技術を活用した設備導入の最適化
・DX(デジタルトランスフォーメーション)による設計・施工の効率化
設計から施工、試運転に至るまで、各プロセスをデジタル化・自動化することで、全体の可視化とボトルネックの早期発見が可能になります。
BIMや3D設計と連動したDXの導入は、時間とコストの削減にもつながります。
・IoT活用による設備の遠隔監視・予知保全
稼働中の設備の状態をリアルタイムで把握し、異常の早期検知や予知保全を実現できます。
これは、ダウンタイムの最小化やメンテナンスコストの抑制にも寄与する重要なポイントです。
設備導入を検討されているなら、ぜひ一度金沢機工にご相談を
いかがでしたでしょうか?
この記事では、設備導入におけるエンジニアリング会社の役割や業務内容、選定のポイントまでを詳しく解説してきました。
プラント設備導入は、企業の競争力や持続可能性を左右する重要な取り組みです。
プロジェクト成功に導くためには、各フェーズにおける専門的な技術とマネジメント力を持つエンジニアリング会社との連携が不可欠です。
これから設備導入を検討されている企業様は、ぜひ一度金沢機工にご相談いただければ幸いです。