環境問題は、マスコミなどを通じて取り上げられることが増え、世界的にも関心が高まっています。自分でも何かやれることはないかと考える機会も多くなってきていることでしょう。
また、各企業においても単に営利を求めるだけでなく、環境に配慮し持続可能な社会づくりを進めていくことが大きなテーマとなっています。
この記事では、個人と企業が環境を守るためにできることを具体的に解説していきますので、私たちの未来のために何ができるか、一緒に考えていきましょう。
個人が環境を守るためにできること
環境問題への取り組みというと世界規模なものを想定して、自分ごととしてとらえていない方もいるかもしれません。
しかし、私たち個人の生活の中でも、環境を守るためにできることは多々あるので、身近でできる取り組みを取り上げて解説していきます。
節電と省エネルギーの実践
私たちは、エアコンや家電など電気を使って快適で便利な生活を送っています。しかし、無駄な電気を消費すれば、その分の発電量も増やさなければなりません。
火力発電が主流である現在、電気をつくるためには化石燃料を燃やす必要があり、二酸化炭素の排出につながります。
家電メーカーから省エネ製品が多数出ていますが、二酸化炭素の排出量を削減するためにも、私たちも生活の中で節電と省エネルギーを心がけていくことが大切なのです。
たとえば、照明をLED電球に換えたり、電気機器を使わないときにはコンセントを抜いておきましょう。また、エアコンは設定温度を適切にし、まめにフィルター掃除をして消費電力を抑えるなどの工夫が節電につながります。
ゼロ・ウェイスト生活の実践
2020年からレジ袋が有料化され、エコバッグを持参して買い物をする人が増えました。コンビニやファストフード店でのストローや食器も、再利用可能な紙製品などに切り替えられています。
以前は、大量生産されたプラスチック製品を利用し、そのまま廃棄していました。しかし近年では、それらが海洋のプラスチックごみとなり、世界的な問題となっています。
私たちも、プラスチックごみをなるべく出さないように、これらの製品の使用には配慮していく必要があるのです。
持続可能な交通手段の利用
マイカーの利用は便利で快適ですが、ガソリンを使った車は大気汚染や二酸化炭素排出につながり、騒音問題などの原因ともなります。
移動の際には自転車や徒歩、公共交通などといった持続可能な交通手段を利用するように心がけ、マイカーを購入する際には電気自動車を検討するようにしましょう。
地元での環境保護活動への参加
環境に対する意識が高まるにつれて、地域での環境保護活動も盛んに行われています。機会があれば地域の清掃活動や植樹活動に参加してみてはいかがでしょうか。気軽に参加して、楽しみながらエコ活動ができるのでおすすめです。
エコフレンドリーな製品の選択
商品購入の際には、できるだけエコフレンドリーな製品を選ぶように心がけるとよいでしょう。
地球環境に配慮して製造されたオーガニック製品や、エコラベルの付いた製品を購入するようにするだけで、環境保全に貢献できます。
企業が環境を守るためにできること
環境問題は私たちの生活だけでなく、経済活動にも大きく影響を及ぼしています。ですから、社会の一員である企業も、環境問題に対応する責任があるのです。
すべての企業にとって、環境への取り組みは必須となっており、企業イメージに影響する要因になりつつあります。
ここからは、企業が環境を守るためにできることを紹介していきましょう。
持続可能なサプライチェーンの構築
材料の調達から製品提供までのサプライチェーンでは、環境に配慮し持続可能な製造プロセスを構築していく必要があります。改めて自社のサプライチェーンを見直すことが重要です。
自社のみならず関係企業も含めて取り組みの輪を広げていくと、さらに効果を高めていけるでしょう。
エネルギー効率の向上と再生可能エネルギーの利用
製造業などでは、製造工程において大量のエネルギーを要する場合があります。製造にかかるエネルギー効率を向上していくことで、大幅に消費エネルギーを削減でき、製造コストを抑えると同時に、環境にもプラスの影響をもたらすことが可能です。
また、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー源に投資していくことや、自社工場で使用するエネルギーを再生可能エネルギーに置き換えることも検討していくとよいでしょう。
持続可能な製品開発とイノベーション
エコに関心のある消費者が増えたことで、環境に配慮した商品に対するニーズは年々高まっています。企業の製品開発においても、いまや「環境」というキーワードを外すことはできません。
商品のコンセプトから、素材調達、製造、流通、販売のすべてにおいて、環境への配慮が求められる時代となっているのです。
社員教育と意識向上プログラム
環境を守る企業づくりを進めていくためには、従業員一人ひとりの意識向上も欠かせません。社員教育や意識向上のプログラムを導入し、社会の一員として環境問題と取り組む姿勢を身につけようとする企業が増えています。
全社をあげて環境への取り組み体制を構築することが、持続的な企業運営につながっているのです。
企業が環境を守るためにできることを考えて取り組んでいる事例
近年では、さまざまな企業で環境を守るための取り組みを行っています。ここでは2社の事例を紹介しましょう。
炭化装置を導入したA社の事例
養鶏業を行うA社では、毎日発生する鶏糞の処理に頭を悩ませていました。鶏糞はにおいが強く扱いにくいため、産業廃棄物として業者に費用を払い処理を依頼していました。
鶏糞にはリン酸やカリウムが豊富に含まれており、古くから肥料として活用されてきた歴史があります。
発酵させて肥料として利用するのが一般的で、製品として利用できるようになるまでには2~3か月の期間が必要です。
ところが、発酵の過程において二酸化炭素や一酸化二窒素といった温室効果ガスが長期間にわたって発生するため、環境問題の一因となっていました。
A社では、その対策として炭化装置を導入し、鶏糞を「炭」にして二酸化炭素を固定化する技術を取り入れることにしたのです。
この技術を利用することで、二酸化炭素の排出量を抑制できるだけでなく、炭化した鶏糞をにおわない有機肥料として活用することも可能になりました。
森永製菓株式会社の事例
大手菓子メーカーの森永製菓では、持続可能な事業活動ができるように環境負荷を削減し、環境保全活動を進めています。
とくに、同社では環境汚染物質の管理や削減に力を入れており、積極的に取り組んでいるのが下記の3分野です。
- 大気汚染物質の排出抑制
全工場のボイラーで都市ガスを燃料とするように変更し、温室効果ガスの排出を削減
- 水質汚濁防止
すべての工場の排水処理設備で独自の厳格な管理基準を設けて排水を管理
- 化学物質の管理
全工場でISO14001に基づいて化学物質を徹底管理し排出量を削減
環境を守るためにできることをしっかりと取り組もう
近年では、地球温暖化の影響による世界的な気候変動が多発しています。日本国内でも気温の上昇や台風・豪雨の増加などが目立つようになりました。
このままでは、近いうちに私たちの生活や企業活動を続けていけなくなります。個人も企業も環境を守るための取り組みは急務であり、避けて通ることはできません。美しい世界を次世代に残していくために、個人も企業もそれぞれが今できることをやっていきましょう。