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六方晶系とは?SiCウエハーの結晶系ごとの違いを解説

2025.02.19

半導体事業

多くの種類がある結晶、そのカテゴリーのひとつに「六方晶系」というものがあります。

 

さまざまな場面で見ることのできる結晶ですが、近年では半導体の材料としても、六方晶系の炭化ケイ素(SiC)が活用されているのです。

 

半導体の材料としてよく使用されるSiCウエハーには、6H-SiC、4H-SiCがあり、それぞれ物理的・化学的特徴が異なります。

 

この記事では、六方結晶とは何か、そして構造ごとのSiCウエハーの違いについて、わかりやすく解説します。

 

併せて、SiCウエハーを購入する際のポイントについても説明しているので、購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

 

六方晶系とは

結晶の分類方法として「結晶系」というものがあります。

 

結晶の空間的特徴による分類で、これによって物質のさまざまな特性が表現可能です。

 

ここでは六方晶系を中心に、結晶系について解説します。

 

六方晶系の特徴

まず、結晶系の分類基準には「結晶軸」というものが用いられ、本数や角度によって結晶の外形や原子配列などを表現します。

 

結晶系における「六方晶系」とは、4本の結晶軸のうち3本が同じ長さを持ち、かつその3本それぞれが60°で交わる構造の物質です。

 

なお、同じ六方晶系の結晶でも、結晶軸の角度によって物理的性質が異なります。

 

六方晶系に分類される結晶としては、石英やエメラルド、ウルツ鉱、亜鉛などが挙げられます。

 

その他の晶系

六方晶系を含め、結晶系は全部で6種のカテゴリがあります。

 

そのほかの晶系について、簡単に見ていきましょう。

 

まず「立方晶系」は、特定の結晶軸3本が同じ長さで直交する結晶で、岩塩や蛍石、黄鉄鉱などが含まれます。

 

次に「正方晶系」は、立方晶系の結晶軸3本のうち、1本だけ長さが異なるもので、黄銅鉱、トール石などが挙げられます。

 

3本の結晶軸の長さがすべて異なるものを「斜方晶系」と呼び、トパーズと紅柱石が代表的です。

 

長さの違う結晶軸3本のうち、2本が直交するものが「単斜晶系」で、月長石やチタン石がここに含まれます。

 

最後に「三斜晶系」は、長さの異なる3本の結晶軸すべてが直交しない結晶で、具体例としては、トルコ石とアマゾナイトが挙げられます。

 

SiCウエハーの結晶系

優れた半導体材料として活用されるSiCウエハーは、原料の結晶構造と原子配列によって、物理的・化学的な特徴が異なります。

 

ここでは、主要なSiCウエハーである6H-SiC、4H-SiC、3C-SiCそれぞれの特徴を見ていきましょう。

 

6H-SiC

6H-SiCは、六方晶系の炭化ケイ素(SiC)で、原子配列6タイプが順番に並んだ結晶です。

 

6H-SiCを用いたウエハーの特徴としては、優れた耐熱性を持っているため、高温環境でも安定することが挙げられます。

 

そのため、エンジン制御、通信装置などに活用されています。

 

4H-SiC

4H-SiCも、六方晶系の炭化ケイ素(SiC)で、原子配列4タイプが順番に並んだ結晶です。

 

性質も6H-SiCと似ており、耐熱性に長けているのが特徴です。

 

加えて、電気的特性が優れているため、高出力デバイス、UV LEDなどに採用されています。

 

3C-SiC

3C-SiCは他と違い、立方晶系の炭化ケイ素(SiC)で、原子配列3タイプが順番に並んだ結晶です。

 

不純物が少なく、高い熱伝導率を持つことが大きな特徴です。

 

しかし、6Hや4Hと比べて、ウエハーの製造が難しいため、現在のところ、用途は限られたものとなっています。

 

4H-SiCと6H-SiCの違い

 

よく似た構造を持ち、どちらもさまざまな場面で活用されている4H-SiCと6H-SiC。

 

このふたつの物質の違いとは、どのようなものでしょうか。

 

ここでは、4H-SiCと6H-SiCの違いについて、構造的・物理的・電気的な面から解説します。

 

構造的な違い

両者は同じ六方晶系の炭化ケイ素(SiC)ですが、結晶構造に違いがあります。

 

4H-SiCと比較して、6H-SiCはより高い対称性を持つのが特徴です。

 

結晶構造における対称性の高さは、欠陥密度と結晶品質に影響を与えるため、合成・加工時に注意する必要があります。

 

熱伝導率

どちらも高い熱伝導率を持つ点は同じですが、結晶内のどこで優れた熱伝導率を発揮するかに違いがあります。

 

まず4H-SiCは、c軸と呼ばれる、結晶の基底面と垂直に交わる結晶軸に沿って、熱伝導率が高くなる傾向にあります。

 

対して6H-SiCは、基底面での熱伝導率が高いというのが、大きな違いです。

 

電気的特性

電気的な特性についても違いがあり、適した用途も異なります。

 

両者を比較すると、4H-SiCの方が電子移動量が多く、高出力デバイスに適しており、6H-SiCは再結合率(電子と正孔が一緒に消滅する割合)が低いため、高品質な基板に適しています。

 

高品質なSiCウエハーを購入するには?

ここでは、需要の高まるSiCウエハーについて、購入する際のポイントを解説します。

 

まず、SiCウエハーの用途、必要な材料の特性などのニーズが定まっている場合は、直接メーカーへ問い合わせるとよいでしょう。

 

また、近年はオンラインストアでも多種多様なSiCウエハーを購入できますが、中には悪質な業者もあるため、ストアの評判に注意することをおすすめします。

 

最後に、複数のメーカー商品を取り扱う代理店を通して、SiCウエハーを購入する方法もあります。

 

信頼できる販売代理店を見つければ、専門的な知識を持たない人でも、高品質なSiCウエハーを購入することが可能です。

 

SiCウエハーの購入は金沢機工へ!

六方晶系は、同長の結晶軸3本それぞれが60°で交わる構造の結晶で、石英やエメラルドが代表的です。

 

同じ六方晶系でも、原子配列のパターンによって異なる物理的特徴を持つため、それぞれ 用途も異なります。

 

六方晶系のSiCウエハーには6H-SiCと4H-SiCがあり、どちらも優れた特性を持ちます。

 

6H-SiCは高品質な基盤に、4H-SiCは高出力デバイスに最適な材料です。

 

SiCウエハーの購入を検討している方は、ぜひ金沢機工までお問い合わせください。

 

種類が多く、選定に専門知識が必要なSiCウエハーですが、金沢機工では多種多様なラインナップから、ニーズに合わせてご提案しております。

 

近年さらに需要の増すSiCウエハー、購入は金沢機工にご相談ください。


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