多くの種類がある結晶、そのカテゴリーのひとつに「六方晶系」というものがあります。
さまざまな場面で見ることのできる結晶ですが、近年では半導体の材料としても、六方晶系の炭化ケイ素(SiC)が活用されているのです。
半導体の材料としてよく使用されるSiCウエハーには、6H-SiC、4H-SiCがあり、それぞれ物理的・化学的特徴が異なります。
この記事では、六方結晶とは何か、そして構造ごとのSiCウエハーの違いについて、わかりやすく解説します。
併せて、SiCウエハーを購入する際のポイントについても説明しているので、購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
六方晶系とは
結晶の分類方法として「結晶系」というものがあります。
結晶の空間的特徴による分類で、これによって物質のさまざまな特性が表現可能です。
ここでは六方晶系を中心に、結晶系について解説します。
六方晶系の特徴
まず、結晶系の分類基準には「結晶軸」というものが用いられ、本数や角度によって結晶の外形や原子配列などを表現します。
結晶系における「六方晶系」とは、4本の結晶軸のうち3本が同じ長さを持ち、かつその3本それぞれが60°で交わる構造の物質です。
なお、同じ六方晶系の結晶でも、結晶軸の角度によって物理的性質が異なります。
六方晶系に分類される結晶としては、石英やエメラルド、ウルツ鉱、亜鉛などが挙げられます。
その他の晶系
六方晶系を含め、結晶系は全部で6種のカテゴリがあります。
そのほかの晶系について、簡単に見ていきましょう。
まず「立方晶系」は、特定の結晶軸3本が同じ長さで直交する結晶で、岩塩や蛍石、黄鉄鉱などが含まれます。
次に「正方晶系」は、立方晶系の結晶軸3本のうち、1本だけ長さが異なるもので、黄銅鉱、トール石などが挙げられます。
3本の結晶軸の長さがすべて異なるものを「斜方晶系」と呼び、トパーズと紅柱石が代表的です。
長さの違う結晶軸3本のうち、2本が直交するものが「単斜晶系」で、月長石やチタン石がここに含まれます。
最後に「三斜晶系」は、長さの異なる3本の結晶軸すべてが直交しない結晶で、具体例としては、トルコ石とアマゾナイトが挙げられます。
SiCウエハーの結晶系
優れた半導体材料として活用されるSiCウエハーは、原料の結晶構造と原子配列によって、物理的・化学的な特徴が異なります。
ここでは、主要なSiCウエハーである6H-SiC、4H-SiC、3C-SiCそれぞれの特徴を見ていきましょう。
6H-SiC
6H-SiCは、六方晶系の炭化ケイ素(SiC)で、原子配列6タイプが順番に並んだ結晶です。
6H-SiCを用いたウエハーの特徴としては、優れた耐熱性を持っているため、高温環境でも安定することが挙げられます。
そのため、エンジン制御、通信装置などに活用されています。
4H-SiC
4H-SiCも、六方晶系の炭化ケイ素(SiC)で、原子配列4タイプが順番に並んだ結晶です。
性質も6H-SiCと似ており、耐熱性に長けているのが特徴です。
加えて、電気的特性が優れているため、高出力デバイス、UV LEDなどに採用されています。
3C-SiC
3C-SiCは他と違い、立方晶系の炭化ケイ素(SiC)で、原子配列3タイプが順番に並んだ結晶です。
不純物が少なく、高い熱伝導率を持つことが大きな特徴です。
しかし、6Hや4Hと比べて、ウエハーの製造が難しいため、現在のところ、用途は限られたものとなっています。
4H-SiCと6H-SiCの違い
よく似た構造を持ち、どちらもさまざまな場面で活用されている4H-SiCと6H-SiC。
このふたつの物質の違いとは、どのようなものでしょうか。
ここでは、4H-SiCと6H-SiCの違いについて、構造的・物理的・電気的な面から解説します。
構造的な違い
両者は同じ六方晶系の炭化ケイ素(SiC)ですが、結晶構造に違いがあります。
4H-SiCと比較して、6H-SiCはより高い対称性を持つのが特徴です。
結晶構造における対称性の高さは、欠陥密度と結晶品質に影響を与えるため、合成・加工時に注意する必要があります。
熱伝導率
どちらも高い熱伝導率を持つ点は同じですが、結晶内のどこで優れた熱伝導率を発揮するかに違いがあります。
まず4H-SiCは、c軸と呼ばれる、結晶の基底面と垂直に交わる結晶軸に沿って、熱伝導率が高くなる傾向にあります。
対して6H-SiCは、基底面での熱伝導率が高いというのが、大きな違いです。
電気的特性
電気的な特性についても違いがあり、適した用途も異なります。
両者を比較すると、4H-SiCの方が電子移動量が多く、高出力デバイスに適しており、6H-SiCは再結合率(電子と正孔が一緒に消滅する割合)が低いため、高品質な基板に適しています。
高品質なSiCウエハーを購入するには?
ここでは、需要の高まるSiCウエハーについて、購入する際のポイントを解説します。
まず、SiCウエハーの用途、必要な材料の特性などのニーズが定まっている場合は、直接メーカーへ問い合わせるとよいでしょう。
また、近年はオンラインストアでも多種多様なSiCウエハーを購入できますが、中には悪質な業者もあるため、ストアの評判に注意することをおすすめします。
最後に、複数のメーカー商品を取り扱う代理店を通して、SiCウエハーを購入する方法もあります。
信頼できる販売代理店を見つければ、専門的な知識を持たない人でも、高品質なSiCウエハーを購入することが可能です。
SiCウエハーの購入は金沢機工へ!
六方晶系は、同長の結晶軸3本それぞれが60°で交わる構造の結晶で、石英やエメラルドが代表的です。
同じ六方晶系でも、原子配列のパターンによって異なる物理的特徴を持つため、それぞれ 用途も異なります。
六方晶系のSiCウエハーには6H-SiCと4H-SiCがあり、どちらも優れた特性を持ちます。
6H-SiCは高品質な基盤に、4H-SiCは高出力デバイスに最適な材料です。
SiCウエハーの購入を検討している方は、ぜひ金沢機工までお問い合わせください。
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